原子間力顕微鏡(AFM)のアサイラム リサーチ

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   市販のインパクトコポリマーに対するNanoRack™サンプルストレッチングステージアプリケーション

    




Dalia G. Yablon and Andy H. Tsou, ExxonMobil Research and Engineering, Clinton, NJ

市販のインパクトコポリマー(impact copolymer; IPC)は、多成分系の材料で、通常、剛性と靱性のバランスが必要とされる自動車や電化製品に使用されています。材料の変形や界面接着を引張応力の関数として調べるために、MFP-3D™ 原子間力顕微鏡でNanoRack™(ナノラック)サンプルストレッチングステージ・アクセサリを用いて研究を行いました。変形の影響は、ポリプロピレンおよびエチレン‐プロピレンの2つの材料の界面だけでなく、2つの成分それぞれの内部でも観察されました。ポリマーブレンドの界面接着強度を判定できる、直接的な測定法は他にありません。だからこそ、ここで述べられているような、ミクロドメイン変形のAFMによる研究が、ICPのような複合ポリマー含有材料における界面接着の直接的な判定を提供するために、結果的に使われる可能性があります。この種の研究は、材料の構造-特性相関に対する私たちの理解の改善を促し、結果的により高品質な製品の製造に結びついています。


インパクトコポリマー(impact copolymer; ICP)への
アプリケーション

この研究に使用された市販のインパクトコポリマーは、連続重合反応器中で作製したエチレン−プロピレン(EP)ゴムドメインのミクロンサイズドメインをもつポリプロピレン(PP)マトリックスで構成されています。ドッグボーン型のサンプルは〜20mm(ドッグボーン中央のまっすぐな部分)で、幅〜4mm、厚さ0.2mmで測定されるインパクトコポリマーで形成されました。ドッグボーンの一部のまっすぐな部分は、滑らかなサンプルを確保し圧縮成型過程に生じる薄いポリマー表面層(ポリマースキンとも呼ばれる)を取り去るために、イメージングに適したドッグボーン中央の小さい滑らかな表面領域を残しつつ、クライオミクロトームで-120℃で低温面出ししました。サンプルをNanoRackサンプルストレッチングステージにスムーズグリップでマウントしました。NanoRackは高ひずみ、高伸張距離のマニュアルストレッチングステージで、引張荷重をかけたサンプルの、2軸のストレスコントロールを提供し、異なる荷重下でのサンプルイメージ領域のコントロールも可能です。自動荷重セルキャリブレーションは、MFP-3Dイメージまたはほかの測定値との積算フォースの測定値を適用し、応力とひずみの両データを返送します。

図1はサンプルがNanoRack中で引っ張られているときの、ICPのリアルタイムの応力vs.時間のカーブです。ベースラインのフォースは2.55Nで測定されており、この特定のストレインゲージの関数になっています。フォースは引っ張るとただちに急上昇し、つづいて材料に強く依存する長い緩和過程があることに注目してください。最初の小さな0.6%の伸び(20mmのドッグボーン上でおよそ0.1mmの引っ張りに相当)の後でさえ、有意なドリフトのないAFMイメージングを行った後、このICPサンプルは緩和に2-3時間必要です。引き伸ばし後に、硬いサンプルはより多くの緩和時間が必要で、弾性のあるサンプルは平衡状態に戻るのに少しの時間が必要か、まったく必要なかったりします。

インパクトコポリマーが伸びるにしたがって、個々の構成要素(PPおよびEPゴム)は引張応力に応じて変形します。このアプリケーションノートでは、材料を引き伸ばした時の、EPゴム内部、PP内部、およびPP/EP界面での挙動を調べています。EPゴム内部の変形の影響は図2のAFMイメージ中に示されています。ここでは、同じEPゴムドメインの振幅モード2のイメージ(バイモーダルデュアルAC™モードより)が示されており、(a)は引き伸ばし前のニュートラルポジション、(b)は3%引き伸ばした後のものです。引き伸ばしの方向は黄色い矢印で示されています。3%引き伸ばしはPPの降伏ひずみ(yield strain)下にあります。青丸で示されるように、ニュートラルポジション(a)で見られるEPゴムドメイン中のリップ(裂け目)は、(b)では引き伸ばしの関数に従って、長さおよび幅の両方で成長しています。さらに赤丸で囲んだ領域で示されるように、EPドメイン中に新しいリップがあります。

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図1: NanoRack上で引っ張られているときの
ICPの応力(N)vs. 時間(秒)のカーブ。



図2: ICPマテリアル内部の同じEPドメインの振幅モード2のイメージ。 (a)はNanoRackのニュートラルポジション、(b)はNanoRack上で3%伸びた画像。イメージをクリックすると、拡大画像をご覧いただけます。



NanoRackサンプルストレッチングステージ



  • 高ひずみ、高伸張距離のマニュアルストレッチングステージで、引張力を加えたサンプルの2軸のストレスコントロールを提供
  • 応力とひずみの両データを返送
  • 異なる荷重下でサンプルのイメージ領域をコントロール可能
  • スマートスタート(SmartStart)™自動ロードセル較正により、MFP-3Dのイメージまたは他の測定と融合したフォース測定を提供
  • サンプルサイズ:最大幅12mm×最小長さ41mm×厚さ6mm
  • サンプルは高さ調節可能な安定支柱で支えられます。支柱は取り外しが可能で、テストサンプルのボトムアクセスが可能。
  • 作動最大レンジ: 110mm(147mmフルストレッチに対して30mm緩和)
  • 最大80N荷重(ひずみゲージ限界)
  • ひずみ(フォース)ゲージは、 80N±0.8Nバージョンから、低フォースの高分解能用の20N(±0.2N)バージョンに交換可能
  • ノブは回転毎に0.5mmサンプルを調整
  • 5µmエンコーダー分解能
  • 局所変調熱分析(Ztherm)™や位相、Dual ACを含む、バラエティーに富んだアサイラム社のイメージング技術との互換性