原子間力顕微鏡(AFM)のアサイラム リサーチ

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 エネルギー生成と貯蔵のためのLiイオン導電性材料の電気化学ストレイン顕微鏡       
 


Roger Proksch, Asylum Research
Nina Balke, Stephen Jesse and Sergei Kalinin, Oak Ridge National Laboratory


電気化学ストレイン顕微鏡(Electrochmical Strain Microscopy; ESM)は、比類のない分解能で、固体中の電気化学反応性やイオンフローをプロービングすることができる、アサイラム社CypherおよびMFP-3D原子間力顕微鏡(AFM)のための新しい走査型プローブ顕微鏡(SPM)テクニックです。ESMの測定能力は、電気自動車のバッテリーや燃料電池、およびグリッドストレージを含む、広範囲なエネルギーテクニックの性能の調査や改善のために大変貴重です。そしてそれらテクニックの実現の可能性はバッテリーのエネルギー密度や寿命の進歩にかかっています。 このアプリケーションノートでは、Liイオン電解質やカソードおよびアノード材料に対するESMのアプリケーションの概要について記述しています。

SPMはナノメータスケールでの使い勝手の良さや、構造の優しいイメージング、マニピュレーションにおいて、ナノサイエンスやナノテクノロジーの主流をなすテクニックに成長しました。形状イメージングの能力を超えて、SPMは電気的、磁気的、そして機械的特性を探る上で、極めて幅広いアプリケーションをカバーすることができます。アプリケーションの成長が顕著なのに対して、伝統的なSPMの測定アプローチ ―シングル周波数での明確に定義された周期的な励起に対するカンチレバーの応答の検出― は、このほぼ20年間、実際には同じままになっています1

エネルギー寿命と、構造/半導体材料の寿命間にそうした甚だしい差異が生まれる理由は、エネルギー材料の機能性がデバイスレベル以下では完全に理解されていなかったり、コントロールされていなかったりするからです。比較すると、半導体や構造材料の機能性は今では、シングルの欠陥のレベルで十分に理解されており、予測のモデル化や材料設計が可能になっています。エネルギー材料の構造は原子からマクロのレベルまで確認することができますが、デバイスレベル以下での電気化学的特性が不可解のままです。例えば、欠陥や界面は電顕で観察することはできますが、界面の反応、電子あるいはイオン輸送、そしてストレインの緩和における特定のそれらの役割は現在のところ分かっていません。個々のナノ粒子あるいは構造的な欠陥レベルでの電気化学的な機能性の理解が得られるだけでも、実践的で知識主導型の研究や開発を進行させることができるのです。

電気化学ストレイン顕微鏡(ESM)は他の現行のテクノロジーに比べ主に以下の2つの改善がなされたことにより、これらの進歩を支援する潜在能力を有するに至りました: (a)ナノメータスケールの容積を探ることのできる分解能、(b)広範囲のスペクトロスコピーテクニックにまで拡張されたイメージング能力。以降の例ではこれらのイメージングとスペクトロスコピー手法に対するESMのアプリケーションを解説します。

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参考文献

1. R. A. Huggins, Advanced Batteries: Materials Science Aspects (Springer-Verlag, New York, 2008).

2. G. G. Amatucci, J. M. Tarascon, & L. C. Klein, CoO2, the end member of the LixCoO2 solid solution. J. Electrochem. Soc. 143, 1114-1123 (1996).



僅か100サイクル後のLiイオンバッテリーの容量劣化(減退)している 健康状態“(Health)”を示すラップトップのツールバー。




電気化学ストレイン顕微鏡(ESM)の原理。 (上) ESMで測定中は、サンプル表面に接触しているSPM探針に周期性のバイアスが印可されます。印可バイアスによりサンプル中にイオンの動きを誘起し、結果的に生じる表面変形がSPMプローブとエレクトロニクスによって検出され、ナノスケールでイオンの動きをマップしたイメージを出力します。(下) 原型的なLixCoO2カソード材料中のリチオ化におけるc格子定数(層に垂直)の依存性2。Liイオンバッテリー(x=1からx=0.5まで)の動作領域において、格子定数はxと共に40pmまで直線的に変化します。Cypher AFMの〜1pmの感度限界と組み合わせた場合に、ほんの10%のリチオ化状態の変化が材料の1ユニットセルを通して測定できることを示唆しています。




電気化学ストレイン顕微鏡の操作領域。(a) ブロッキング探針電極(低湿度あるいは真空)、(b) Li含有電解質、(c) 探針‐表面に液滴を持つ室温条件下、(d) 上部電極デバイスの表面上。