原子間力顕微鏡(AFM)のアサイラム リサーチ

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   MFP-3D™によるフォーススキャニング: 1つで2つの機能                 




By Hetal V. Desai and Eric M. Darling, Department of Molecular Pharmacology, Physiology and Biotechnology, Brown University, Providence, RI, USA

原子間力顕微鏡(AFM)は、物質についての多くの特性を明らかにすることができます。一般的には、AFMは形状の情報を得るために使用されますが、機械的剛性や電気伝導度、抵抗率、磁性までも調べることができます。いくつかのアプリケーションを挙げると、研究者たちは、酵素と基質間の相互作用1や、傷ついたり病気にかかったりした組織の構造変化2、脂質間の高分子相互作用3、核酸組織と構造の解析4を研究するためにAFMを使用してきました。AFMはミクロおよびナノスケールでの解析を行い、ファンデルワールス力や静電気相互作用、分子結合と同等の極小な現象を定量化することができます5。AFMはサンプル表面の高分解能で詳細なイメージを作成することができ、劈開したマイカのように平坦な物質や、細胞のように不均一な物質のミクロおよびナノスケールでの特性を示すことができます。AFMの興味深い側面は、固定していない未染色の生きたサンプルのミクロおよびナノスケールでの複数の特性を、一回のテストで測定する能力です。多くの分野での特定の使い方は、形状的特徴と機械特性の同時測定です。

従来の光学顕微鏡は、サンプル(特に生物的なもの)についての豊富な情報を明らかにすることができます。光学顕微鏡は、多くの異なるパラメータ間で、細胞の形状や細胞内の細胞下構造の局在化、さらに細胞下構造の組織化までも、研究者たちに教えることができます。しかし、これらの光学データがもつ制限は、直接定量化が可能な方法でその細胞の機械的特性を測定することができないということです。これらの特性は、細胞の骨格構造の組織や形質についての重要な情報を研究者に提供します。細胞の剛性(細胞の弾性率を測定することで定量化される)は、細胞を横切るさまざまなポイントで異なります。細胞は細胞質の上はより軟らかく、細胞骨格構造の上はより硬いという傾向があります。一般論として、AFMは細胞を含むあらゆる物質の機械的および形状的な特性を、一度の測定で同時に評価することができます。

1990年代から、AFMの研究者は基質についてのナノスケールの形状情報や機械的な情報を同時に提供するために、フォースマッピングを使用してきました。フォースマッピングは物質上の別々なポイントで個々のフォースカーブを作成し、剛性や高さの値を計算するために使用します6, 7。この主力の技術は単純かつ素直で、どんなAFMのセットアップでも簡単に実行できます。しかしながら、それは水平方向の分解能が低い、比較的遅い方法であるともいわれており、多くの生物学的な応用には理想的ではありません。

私たちは、非常に速いプロセスで、興味のある物質についての構造的および機能的な情報の両方を得るために、“フォーススキャニング”とよばれる新しい技術を開発しました(右図)8。このAFMベースのアプリケーションは、基板の高分解能な形状イメージを素早くキャプチャーし(2-5 Hzのスキャニング周波数使用時に、32×32ポイントの分解能でわずか数秒) 、後処理の間に、位置を特定した機械特性を定量化するために使用されます。フォーススキャニングは、コンプライアントな材料を分析するための、幅広く応用できるアプローチを実行するシンプルな手法です。その技術は、アガロースゲルから軟骨、生きた細胞まで、あらゆる変形可能な材料に使用されます。それは、これまでの試みの改良版であり6、ゲル表面の正確なマッピングや、細胞間の相互作用の定量化、生きた細胞や細胞外基質の高分解能での特性評価を示してきました7。フォーススキャニングには特別なカンチレバーや基本的なAFM技術の変更は必要ありません。クリアなコンタクトモードイメージが得られるかぎり、フォーススキャニングは実行可能な選択肢になります。

参考文献
  1. M. Carrion-Vasquez, A. F. Oberhauser, S. B. Fowler, P. E. Marszalek, S. E. Broedel, J. Clarke and J. M. Fernandez, 1999 Mechanical and chemical unfolding of a single protein: A comparison Proceedings of National Academy of Sciences 96 3694.
  2. A. W. Bridges, N. Singh, K. L. Burns, J. E. Babensee, L. A. Lyon, A. J. Garcia, 2008 Reduced Acute Inflammatory Responses to Microgel Conformal Coatings Biomaterials 29, 4605-4615.
  3. J. Park, 2010 Probe Chemistry Effect on Surface Properties of Asymmetric-Phase Lipid Bilayers Colloids and Surfaces B: Biointerfaces 75, 290-293.
  4. M. Rief, H. Clausen-Schaumann and H. E. Gaub, 1999 Sequence-dependent mechanics of single DNA molecules Nature Structural Biology 6, 346.
  5. J. Vandiver, D. Dean, N. Patel, C. Botelho, S. Best, J. D. Santos, M. A. Lopes, W. Bonfield, C. Ortiz, 2006 Silicon Addition to Hydroxyapatite Increases Nanoscale Electrostatic, van der Waals, and Adhesive Interactions Journal of Biomedical Materials Research Part A 78A, 352-363.
  6. D. R. Baselt and J. D. Baldeschwieler, 1994 Imaging spectroscopy with the atomic-force microscope. J. Appl. Phys. 76, 33-8.
  7. M. Radmacher, J. P. Cleveland, M. Fritz, H. G. Hansma and P. K. Hansma, 1994 Mapping interaction forces with the atomic force microscope. Biophys. J. 66, 2159-65.
  8. E. M. Darling, 2011 Force scanning: a rapid, high-resolution approach for spatial mechanical property mapping. Nanotechnology 22, 175707.
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図: 一定値ずつ増加する一連の高速コンタクトモードスキャンを積み重ねて、一つのイメージ中のすべてのポイントに対してフォース−インデンテーションカーブをキャプチャーします。弾性係数はこれらのデータから外挿法で推定し、高分解能な空間モジュラスマップを作成できます。矢印は細胞核上の大きく変形しやすい領域を指しています。