原子間力顕微鏡(AFM)のアサイラム リサーチ

製品 アプリケーション イメージギャラリー サポート 会社概要 リンク

2014.11.10

   比類のないAFM ,Cypher
 

Cypher S製品ページへ
Cypher ES製品ページへ
blueDriveフォトサーマル励振法へ
Cypher AFMイメージギャラリーへ


アサイラム リサーチのCypher™ AFM は正に別格の製品です。当社のサイエンティストおよびエンジニアたちは、あらゆるデザインを最適化することにより、最高分解能、高速スキャニング、最高の環境制御、および非常に優れた生産性を有するAFM をつくりあげました。以下にこのCypher AFM と他のすべてのAFM との差異について述べさせていただきます。



Cypherは他のAFMよりも高い分解能を
ルーチンで実現


AFMにとって、分解能は最も重要かつ基本的な性能と言えます。Cypher AFMは、他のAFMよりも高い分解能で、単一原子点欠陥を含む特徴をルーチンで解像します。

期待してください ―
Cypherは高分解能測定をルーチンにします


Cypherは初めて原子点欠陥を解像したAFMでは決してありません。AFMの歴史の中で、時々劇的な分解能をもったイメージが出現することがあります。完璧な探針、理想的なサンプル調製、静かな一日、そしてさらに幸運の女神が舞い降りると、 ― 以前には決して見たこともないようなイメージがときには現れることがあります。

こうした例は、勇気と奮闘と忍耐が求められるため、“ヒーロー・エクスペリメント”として知られています。今ではCypherなら、こうした結果はルーチンで得られます。勇気をもって実証しようとするAFMメーカーがなかなかない中で、これはひとつの偉業と言えます。

Cypherの良さはその設計にあります

Cypherが他のAFMよりも高い分解能を達成することができたのは、偶然からではありません。サンプルと探針間の経路(メカニカル・ループ)が非常に短く、そして高い剛性が付与されたからです。これはノイズを低減するための最も重要な要素です。統合されたアコースティック・エンクロージャと組み合わされたことで、Cypherは環境ノイズの影響を受けることがほとんどありません。驚くべきことに、Cypherは通常、防振台を必要とせず、それでも垂直ノイズフロアは15 pm以下で、この値は大部分のAFMに比べて少なくとも50%は低くなっています。

単一原子点欠陥分解能と原子格子分解能の違いは何?

結晶は、常に欠陥を含んでおり、中には、“単に単原子が欠損しているところがあって、その他は均一に原子格子が並んでいる”といったものがあります。いまだに、多くの“原子分解能”を有するAFMと主張する製品のイメージは完璧かつ欠陥フリーな結晶面を見せています。なぜなのでしょうか? 中には、ある領域に欠陥が一切ないといったことは有り得るでしょうが、これらのイメージの大部分は、AFMの探針が鈍ったために、存在する欠陥が見えなくなったと考えられます。AFM探針がひとつの突出した原子ではなく、いくつかの原子からなる面の状態になっていると、探針は点欠陥を検出することなく、その上をかすめて通り過ぎてしまう可能性があります(右図参照)。サンプルのステップのところでは、そのエッジが探針の上方の他の原子と相互作用し、さらに複雑な探針のコンボリューション効果(探針先端のサイズがイメージ生成に及ぼす影響)を生んでいる可能性があります。

Cypher AFMは、ステップエッジから離れたところにある結晶面の単原子点欠陥を、ルーチンで観察することができ、そしてそのスキャンフレームの点欠陥イメージを繰り返して再現することができます。ルーチンでこの分解能での可視化を達成できるAFMは他にはないと考えています。大多数が無理でしょう。シャープな探針を見つければ、可能になるといった問題ではありません。もっと重要なのは、イメージングの間中、探針のシャープネスを保持できるかどうかなのです。外部振動や不良フィードバックが原因の、コントロールされない探針−サンプル間の衝突が1度でも生じれば、探針を鈍らせる可能性があります。Cypher AFMではその群を抜いた安定性により、点欠陥は数時間にわたるスキャンの間中、観察することができます。


水中でのカルサイト結晶のタッピングモード形状の連続イメージ。観察されている繰り返しの点欠陥はCypher AFMの真の原子分解能の性能を示しています。矢印はスキャンの方向を表しています。スキャンサイズ20 nm。



3枚の連続イメージは、Cypher AFMで水中イメージングを行った、カルサイト結晶のへき開面上の原子スケール欠陥の再現性を示しています。スキャンサイズ10 nm。



鈍ったAFM探針は単一点欠陥の上をかすめていき、ステップエッジと複雑に相互作用します。ほとんどのAFMはシャープな探針を保持することができないために、格子分解能しか達成できません。



原子的にシャープなAFMの探針だけが単一点欠陥を検出できます。Cypher AFMは極めて安定なので、探針は数時間にわたってそのシャープさが維持されます。




Cypherは唯一のフル機能装備の
高速スキャニングAFM


新しい微小カンチレバーにより、その互換性のあるAFMは、従来のAFMに比べて、スキャンを10倍から100倍速めることができます。Cypherはこれらの数少ない高速スキャンAFMの中でもユニークな製品です。それは、期待される他のモードやアクセサリのすべてをサポートしながら、高速タッピングモードイメージングも可能にしているからです。他の高速スキャニングAFMでは、こうはいきません。単に形状をスキャンすること以上のことを行おうとするだけでも、全く別のAFMを使用する必要があったり、そうでなければ高速スキャナーを取り外して、通常のスキャナーに交換する必要があったりします。

Cypherは最小で最速のプローブが使えます

カンチレバーの応答周波数はそのサイズにより変化するために、より微小なカンチレバーは、より高速に応答します。これらのプローブを使用するためには、AFMが、その振れ検出レーザーを、非常に小さいスポットにフォーカスできることが必要です。Cypherの微小レーザースポットはわずか3 x 9 µmのサイズで、市販の最小のプローブも利用可能です。

速いだけでなく、しかも低ノイズ

微小カンチレバーはまた、高分解能測定を可能にします。それは、微小カンチレバーは、同じバネ定数をもつ従来のカンチレバーに比べて、共振を中心としたバンド幅の中のサーマルノイズが本質的に低くなるためです。コンタクトモードあるいはフォースマッピングモードは通常、より大きい1/fノイズ源によって支配される、ずっと高いノイズ領域で操作されます。 このことは微小カンチレバーを使用するタッピングモードの基本的で大きな利点であり、Cypherが他のAFMに比べて一貫して高分解能を達成している一つの理由です。

Cypherスキャナーに妥協はありません ―
高速、低ノイズ、低ドリフトおよびクローズドループ


Cypher SおよびCypher ESのスキャナーは、どんな測定によってでも判定できる、並外れた性能を特長としています。スキャナーのレンジは広々としており、30 µm XY,5 µm Zもあります。XYスキャナーはクローズドループで動作し、最高の正確さを発揮し、XYセンサーノイズは60 pm以下で、大部分の競合(対象はオープンループに限定していません)のそれよりも50%以下です。低ドリフト特性は、ダイナミックな事象のムービーで、分解能を最大にし、ジッターを最小にします。熱安定化オプションによりドリフトを無視することができます。


動画再生

湿った空気中における、清浄なへき開カルサイト結晶の再構成表面。タイムスケールは数分から数時間。この動画は、ほぼ5時間近く、195 µm/s (40 Hzスキャンレート,13秒/フレーム)でスキャンした2 µmの領域を示しています。動画は、タッピングモードで10 µmカンチレバーを使用して、3.5 MHzの共振周波数でとりました。詳細はCypher高速スキャンビデオをご覧ください。



(左)高速スキャニングのカンチレバーは従来のカンチレバーに比べて、10-20倍短いです。(右)Cypherのレーザースポットは、従来の最小カンチレバーにとっても完璧にぴったりのサイズです。



3種類のサイズが異なるカンチレバーのサーマルノイズスペクトル。従来型(緑),中間(青),微小(黒)カンチレバー。微小カンチレバーのサーマルノイズは、広範囲の周波数にわたって広がっており、そのため、共振を中心としたバンド幅の中のノイズはずっと低下し、ここでは、従来のプローブに比べておよそ4倍は低くなっています。画像をクリックすると拡大版をご覧いただけます。





blueDrive は、よりシンプルで、安定性のある、定量的なデータが取り込めるように、タッピングモードを一新

タッピングモードはAFMの世界では、断然主流のイメージングモードです。形状測定だけでなく、機械的、電気的、磁気的な特性も測定します。一般的には、圧電音響励振がカンチレバー振動の駆動に使用されています。その製作が容易であることから、よく利用されていますが、カンチレバーの圧電駆動応答は大気中および液中のいずれにおいても理想からはほど遠いものです。

アサイラムのblueDrive励振メカニズムは、変調ブルーレーザーを使用して、カンチレバーを光熱的に直接励振しており、ほぼ完璧な応答を生み出します。フォトサーマル励振をご利用いただけるのは、アサイラム リサーチのCypher AFMだけです。

液中イメージングでも、セットアップは簡単

AFMカンチレバーの周波数応答は理論的には非常にシンプルです。しかし実際は、圧電駆動の機構が、カンチレバーだけでなく、他の系の共振も励振するために、大気中であっても測定応答を歪めます。液中では更に、別の要素が応答をよりいっそう悪化させます。blueDriveは光を使用するので、AFMの他の機械的な構成部品を励振することなく、カンチレバーのみを励振します。この機構は並外れたクリーンな応答を生み出します。そして、液中や他の困難な条件下であっても、簡単で信頼性の高い自動カンチレバーチューニングを可能にします。

非常に安定なイメージング

圧電駆動のカンチレバー応答は、周波数に左右されるだけでなく、経時変化もあります。セットポイントに対して応答がドリフトするに従い、探針-サンプル間の力が変化します。このドリフトによるアーティファクトは、真のサンプルのダイナミクスと切り分けることが難しくなる可能性があります。blueDriveによる直接励振は、ドリフトに対して高い耐性があるので、実験の間中、そしてフルコートロール下であっても、イメージングフォースが安定なままです。このため、長時間にわたって、振幅のセットポイントの再調整を一切行う必要がなく、安定なイメージングが実現します。

ナノメカニカル特性の計測

カンチレバーの振幅応答および位相応答は、AM-FM粘弾性マッピング、ロスタンジェントイメージング、コンタクト共振粘弾性マッピングのようなナノメカニカル・テクニックを含む、多くのAFMテクニックで定量的に解釈されています。これらの分析ではしばしば、理想的なカンチレバー応答(単純な調和振動子モデル)を仮定しています。そのため、そこから得られる物理的な情報の正確さは、カンチレバー応答の実際のクオリティの制限を受けます。blueDriveを使用して測定される共振は、信じ難いほどクリーンで、理論と良く一致しています。そのために、周波数、位相およびQ値のすべてにおいて、すぐれた正確さと精度で測定と記録が可能になり、結果として、より正確な材料特性を創出します。


blueDriveのコンセプトの図(左)と、実際の上から見た光学イメージ(右)で、2つのレーザーの焦点位置を示しています。




(上)オリンパス社製BL-AC40TSカンチレバーの液中の代表的なチューン。(下)同条件下で測定した振幅の対時間の安定性。




Cypher S AFM に搭載のblueDrive を使用して、バッファ中でイメージングを行ったDNA。DNAの2重らせんの主溝および副溝の両方が明確に解像されています。イメージのサイズは120 nm。blueDriveイメージギャラリーで他のイメージもご覧いただけます。




マイカ上のポリスチレン(PS)/ポリカプロラクトン(PCL)ポリマー薄膜のAM-FM 粘弾性マッピング。イメージはCypher S AFMに搭載のblueDriveフォトサーマル励振を使用して2 Hzの速度でとりました。スキャンサイズは5 µm。ナノメカニクス・イメージギャラリーで他のイメージもご覧いただけます。





Cypherは使い易い環境コントロールを実現 ― 温度、液体かん流、化学的適合性

Cypher ESは、温度可変、かん流有無の液中操作、幅広い化学的適合性といった、環境コントロールを可能にすることを念頭に設計されました。大部分のAFMは、まず最初に大気中での操作を設計し、後に環境コントロールを付加することを考えるために、その操作性が限定されてしまっています。そのために、Cypher ESがより優れた使い易い環境制御のソリューションを提供するのは、何も驚くことではありません。

ガスや液に対して完全密封

全てのCypherESは、密封セルに少なくとも35 kPaまでの圧力をかけて、テストを行っています。このテストにより、液中での利用時に、損傷を与えるような液漏れがどこにもないことが保証され、液体体積の蒸発を防止するための平衡状態がとれるようにしています。ガスでは、これにより混成(例:湿度制御で、不活性ガスなどの利用)のコントロールが可能です。ガスや液体は、交換したり、シールされたチュービング接続を通してかん流させることもできます。密封セル全体をAFMから独立させて、カートリッジのように扱うことができます。

絶妙な温度コントロール

サンプルの温度コントロールは、密封セルの中で実行されます。密封セルは、例えば高温のサンプルの酸化や、低温のサンプルの結露の防止などに利点があります。2つの温度コントロールレンジが揃っており、室温〜250℃および、0℃〜120℃があります。どちらもガスあるいは液体環境でご利用いただけます。高度に対称的なメカニカル設計と低膨張率材料の使用により、温度の変化に対しても非常に低いドリフトに抑えています。

化学的適合性により、厳しい環境下でも利用可

サンプルおよびその環境に接する全ての材料は、優れた化学適合性を考えて選択しました。液中での使用時には、液体はサンプル、カンチレバーホルダー(融解シリカ)およびプローブクリップ(ステンレスもしくはPEEKから選択)にしか接することがありません。ガスや液蒸気は、カンチレバーホルダーをシールしているFFKM O-リングおよび、スキャナーの周囲をシールしているFFKMベローズにも接触します。こうした材料を使用することで、強酸や強塩基、強力な有機溶媒、そして他のほとんどのガスや液体の利用が可能です。

使い易い操作設計

環境コントロールオプションは、実効的にすることを目指すだけでなく、使い易いものにするように設計しました。必要部品数を最小限にするために、外部コントローラを一切なくし、熱交換用の冷却液ポンプも使用していません。内蔵の圧力センサーを使い、セルの密封状態の確認をしています。部品は洗浄が容易にできるように設計されており、コンタミの蓄積を防ぐために溝をなくしています。他のAFMの経験があるユーザーは、できるだけ環境コントロールの利用を回避しがちです。CypherESは、環境コントロールを利用する利点があるときにはいつでも使えるように、使い易い設計に仕上げています。


ガス中でも溶液中でも、Cypher ESはあらゆる状況の中で優れた環境を提供するために密封セルの中で測定を行います。図は液滴操作を示しています。




ポリスチレン(PS)とポリプロピレン(PP)のブレンドを140℃まで加熱してシンジオタクティックPPを溶解し、次に一定の速度で冷却しました。その間、1分間当たり1フレームでイメージをとりました。サンプルの冷却が進むに従い、連続したPP相が最初に核をつくり、部分的に並んだ半結晶領域を形成します。その領域の中にはPS球状ドメインの上に形成しているものも見えています。

動画再生